海外に長く住まれているご家庭では、「日本語は日常会話ができれば十分」と考える方も少なくありません。しかし、「話す力」だけを育てることはできません。

海外で育つ子にとっての日本語は
学校で学ぶ外国語でも、日常生活を送るための第一言語でもありません。
家庭の中で親から子へ受け継がれる継承語(ヘリテージ言語)という
特殊なカテゴリーに属します。
継承語の特徴は
耳から入ってくる言葉は豊富
でも、読み書きの機会が極端に少ないことです。
家庭内で日本語を聞き、話す環境があっても
文字に触れる機会がなければ、語彙は幼児期のまま止まってしまいます。
「今日、学校で何があった?」を話すだけなら幼い語彙でも足りますが
感情・意見・抽象的な概念を伝えようとしたとき
読み書きで培った語彙と表現力がなければ
言いたいことが言えない——という壁にぶつかります。
この壁を越えるための鍵こそが、読み書き力です!
継承語環境では、日本語の語彙は主に家庭内の会話から吸収されます。
しかし、これには大きな限界があります。
日常会話で使われる語彙は非常に限られており
しかも繰り返し出てくる言葉に偏りがちです。

ジュース、おいしい♪
これ、かいた!

このような片言でも会話としては成り立っているでしょう。
ただ、それは語彙の幅とは別の話です。
語彙の幅を広げられるのは、読書です。
本を読むことで、日常会話には出てこない
豊かな表現・多様な文体・抽象的な言葉に出合うことができます。
そして、読んだ言葉を書くことで
受け身だった語彙が「自分で使える語彙」へと変わっていきます。
継承語の子どもが会話で使える日本語を増やしたいなら
読み書きを通じてインプットの幅を広げることが先決です!
会話はそのうえに花開きます。

読み書きの三本柱
話す力に繋げるための読み書き力を伸ばすためには
読み書きの基本をしっかり定着させることが重要です。
どれも地味で、成果がすぐには見えにくい学習ですが
この積み重ねを怠っていては、日本語力の本当の向上は期待できません。
焦らず、一歩一歩着実に進めていきましょう!
(1)音読
音読は、声にだして正確に読みながら
文字と音を結びつけ、言葉のリズムを体に刷り込む練習です。
継承語の子どもは「耳からの日本語」に慣れているぶん
文字を声に出すことで聴覚と視覚を同時に鍛えられます。
大きな口を開けてはっきりと
間違わずに正確に声に出して読むことを習慣にしましょう。
(2)暗唱
暗唱は、良質な文章を丸ごと記憶することで
語彙・文法・表現を無意識に使えるレベルまで定着させます。
中途半端に覚えると間違えた言葉のまま定着してしまうので
「完璧」を目指しましょう。
(3)視写
視写は、正しい文字や表現を実際に手で書き写す作業で
「正しい日本語の形」を体で覚えるのに効果的です。
言葉を塊でまとめて書くことを意識しながら
同時にワーキングメモリーも鍛えましょう。
今日から始める!家庭での習慣
・就寝前の5分間音読 
お気に入りの日本語の絵本や児童書を、毎晩声に出して読む。
詩や物語の一部抜粋など、短くてもいいですよ。
・一文日記 
毎日一文だけでいいので日本語で今日あったことを書かせましょう。
「きょうは○○をした」「○○がたのしかった」だけで十分です。
少しずつ文を長くすることで表現力が育ちます。
・手書きのお便り 
日本にいる祖父母や、お友達に日本語で手紙を書く機会を作りましょう。
誕生日やクリスマスカード、年賀状や暑中見舞いなど
四季折々のお便りを送りましょう。
「誰かに伝える」という目的があると、子どもの書く意欲が上がります。
・字幕つき動画 
動画やテレビを流し見しているだけでは効果半減です。
日本語の字幕つきで視聴することで
耳から聞こえる言葉と文字が結びつき、読む力につながります。
・書いて話す 
その週にあった出来事を日本語で書いてから話す時間を設けると
「書く→話す」の回路が鍛えられます。
一文日記の発表の場としても良いですね。
大切なのは「毎日少しずつ、継続すること」です。
親が積極的に楽しそうに日本語を使っている姿を見せることも
子どもの意欲につながる大きな力です!
読み書きの土台があってこそ、会話力は本物になります。
音読・暗唱・視写という地道な習慣を家庭に取り入れ
本物の日本語力をお子さんの財産にしてあげてくださいね!
みらい塾は継承語としての日本語を育てます!


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