皆さんには、想像するだけで背筋がゾクゾクッとする嫌な音ってありませんか?
旧佐久間小学校 黒板 / k14
私は黒板をつめで引っかく音を想像するだけで、爪が浮きそうです。また、音ではありませんが、コンピュータのマウスで点を何個も書くような細かい作業をすると、お腹がひっくり返る感じがします。
黒板を爪で引っかく音、フォークがお皿にすれた音、子どもの甲高い泣き声、発泡スチロールがこすれる音などなど、人にはそれぞれ苦手な音があるでしょう。
そうした音を不快だと感じる原因を追究した興味深い研究結果が発表されたというニュースがDaily Mail(デイリーメール:イギリスのタブロイド誌オンライン版)に以前掲載されていたのでご紹介します。
長年に渡る多くの研究結果から「人間には敏感に反応する特定の高い周波数域がある」ということが分かっていましたが、不快に感じる原因についてはまだ解明されていませんでした。
そこで、イギリスのNewcastle University(ニューキャッスル大学)の研究者であるDr. Sukhbinder Kumar(スホビンダー・クマール氏)率いる研究チームは、脳と音との関係を調べるべく、ある実験を行いました。
その実験では、13人の被験者にあらかじめ用意した74種類の音を不快と感じた順にランク付けをさせ、その間に彼らの脳の様子をスキャンするというものです。
音を不快だと感じれば感じるほど、脳のAmygdala(へんとう体)と呼ばれるアーモンド形の小さな器官が強く反応しているということがこの実験で明らかになりました。
my brains – let me show you them / Liz Henry
この器官は、人間の情動反応や記憶の処理に深く関わっている部分だそうで、この器官が強く反応しているということは脳が発する危険信号であり、特定の音を不快だと感じる原因として人間の生存本能に関わっているからではないかとクマール氏は述べています。
ちなみに、以下は実験で被験者が不快だと感じた音の上位結果です。
1.Knife on a bottle(瓶でナイフを引っかく音)
2.Fork on a glass(コップをフォークで引っかく音)
3.Chalk on a blackboard(黒板にチョークで書く音)
4.Ruler on a bottle(瓶を定規で引っかく音)
5.Nails on a blackboard(黒板を爪で引っかく音)
こうした高ピッチの音は、人が助けを呼ぶときの叫び声や赤ちゃんの鳴き声と同じ周波数域らしいので、「人間の生存本能に関わっている」という推測は的を射ているようですね。
【参考記事】
Daily Mail(英文)
日常生活の些細なことを深く掘り下げていき、脳や生存本能の解明に繋げていくなんて、さすが科学者や研究者は「好奇心」の塊ですね。(^_-)-☆
.