皆さんは、子育てに関して、バイリンガル派? それとも、モノリンガル派ですか?
Bilingual Railroad Sign at Landsdowne Station / ralpe
単一民族が多く暮らす日本とは違い、海外では、2ヶ国語を話すバイリンガルや3ヶ国語以上話すマルチリンガルが多くいます。
ニューヨーク市内、特に移民が多く住むみらい塾のお膝元クイーンズ区の現地校には、1ヶ国語(英語)だけ話すモノリンガルの子どもよりバイリンガル・マルチリンガルの子ども達の方が多いくらいです。
このブログをご覧の皆さんも、お住まいの国や地域は違えども、少なからずバイリンガル教育に興味を持たれている方だと思います。お子さんをバイリンガルに育てようと思われたのも、日本人としてのアイデンティティーを確立してほしいとの願いだけでなく、将来バイリンガルとして得られるメリットなども考えられてのことでしょう。
しかし、バイリンガルやマルチリンガルに子どもを育てることは、補習校や塾、学習教材を揃えるなどの金銭面での負担だけでなく、家庭での日本語学習の徹底や日本語での話しかけ、本の読み聞かせなど労力も多大です。
そんな大変な思いをしていらっしゃる保護者さま達へ、バイリンガルに関して朗報のニュースが飛び込んできました!
アメリカのUniversity of Kentucky College of Medicine(ケンタッキー大学医学部)のDr. Brian Gold(ブライアン・ゴールド教授)率いる研究チームは、「子どもの頃から2ヶ国語を話していたバイリンガルの高齢者は、母国語のみを話すモノリンガルの人に比べ、脳が効率よく機能する」との論文を発表したと、イギリスのタブロイド誌Daily Mailが報じました。
同大学の研究チームが行った調査では、60~68歳の参加者に次の3つの課題を与え、形と色を特定してもらい、その結果を分析するというものです。
- あるものの形が、丸いか四角いか。
- あるものの色が、赤いか青いか。
- 上記2つの課題の組み合わせ(あるものの形と色の判断)
バイリンガルの有無にかかわらず、参加者いずれも第1・第2の課題に関しては正確に特定することができましたが、第3の課題においては、バイリンガルの参加者の方が、モノリンガルの参加者よりも早く課題を終わらせることができたとの結果が出ました。
また、MRIで参加者の脳をスキャンした結果、第3の課題、すなわち、異なる課題を同時に判断するときに働くFrontal Cortex(前頭葉)の部分が消費したエネルギーは、モノリンガルの参加者に比べ低いことが判明しました。
この結果に関して、ゴールド教授は「バイリンガルの高齢者はモノリンガルの高齢者に比べ効率的に脳を使っている」との見解を示しました。また同時に、今回の結果により、生涯バイリンガルであることは老化における前頭葉の機能に大きなメリットがある可能性があることを示唆しています。
今回の調査では、子どもの頃から複数の言語を話していた人を対象に行っているため、今後は大人になってから第二言語を習得した場合でも同様に脳の機能の効率を高めるのかを追求していく方針だそうです。
皆さんは、多大な労力を伴っても余りあるメリットがバイリンガル教育にはあると思いますか?
【参考記事】
Daily Mail Online(英文)
海外で子どもの日本語を維持させるのは、並大抵の努力では達成できません。子どもが成長するにつれ、数多くの「試練」が親子共々に襲ってきます。でも、私はそれを乗り越えるだけの価値がバイリンガル教育にはあると信じています。バイリンガル教育は、親が子に残せる貴重な財産です。
お子さんに日本をもっと知ってほしいと思っているにもかかわらず、他国の人や文化を理解するための道具である「言語」を渡さずに、お子さんは日本をきちんと理解することができるでしょうか。日本語なくして、日本を大切に思う気持ちを育むことはできません。もしお子さんにこれからも日本を好きでいてほしいと願われるのなら、日本語教育を諦めないでください。
海外における皆さんのバイリンガル教育のお手伝いが少しでもできれば嬉しいです。
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