チップ制度 - 便利?不便?


こんにちは。みらい塾 塾長の馬場です。kayv1

アメリカに住んでいて面倒だなと思うことのひとつに、「チップ制度」があります。


Tip Jar at Open Bar / Dave Dugdale

欧米では、レストランやタクシー、ホテルのルームサービス、美容院、ネイルサロン ―――など、これらのサービスを利用した際には、「Gratuity(心づけ)」と称したチップの習慣が残っている地域が多いです。

 

 

例えば、ニューヨーク市内のレストランで食事をした場合、食事代金100ドルに対し、8.875%のSales Tax(セールスタックス:消費税)が9ドルほど加算されます。それに加え、通常では、15%~20%のチップを置くのが相場とされています。ですので、この場合、100ドルの食事に対して、125ドル~130ドルを支払うことになります。

私を含め、チップ制度のない国から来た人たちにとっては、このように食後にチップの額を計算したりする制度を不便だと感じることも多いです。そうした中、NY Times(NYタイムズ紙)は、サービス料をあらかじめ上乗せするというヨーロッパスタイルを実行しているレストランが、近年、注目を浴びていると報じました。このチップ制度廃止の議論は、昨年、何度か同紙面で取り上げられていたので、記事を目にしたことがある方も多いかも知れませんね。

そこで、どんなレストランがチップ制度を導入していないのかと気になって調べてみると、ニューヨークでは、人気レストラン「Atera(アテラ)」やブルックリンで唯一のミシェラン3つ星レストラン「Chef’s Table at Brooklyn Fare」、タイムワーナービル内にある超高級フレンチ・レストランの「Per Se(パ・セ)」、日系レストランでは、高級すし店「Sushi Yasuda(寿司安田)」や居酒屋「Riki(りき)」などがサービス料込の価格設定にしています。

さらに、ニューヨーク以外の地域では、シカゴの「NEXT Restaurant(ネクスト)」や「Alinea(アリニア)」、サンフランシスコの「Coi(コイ)」などがチップ制度廃止に賛同しているほか、テキサス州オースティンの「Black Star Co-op(ブラック・スター・コープ)」では、サービス料だけでなく消費税も込みのメニュー価格を提示しています。

近頃では、リアリティ料理番組「Top Chef(トップ・シェフ)」の審査委員長でもあるTom Colicchio(トム・コリッキオ氏)がオーナーを務めるレストランでも、サービス料込みの価格設定を検討するなど、チップ制度の廃止の動きがアメリカの一部地域で広がりを見せています。

では、改めて、チップ制度のメリットとデメリットを比べながら、制度の是非を振り返ってみましょう。

チップ制度のメリット

●従業員のモチベーションが上がる(店・従業員GOOD、客GOOD
●失礼な接客をする従業員が減る(店・従業員GOOD、客GOOD
●一律賃金システムよりも多く稼げる可能性がある(従業員GOOD
●クリスマスなどのホリデーシーズンに、高額のチップをもらえる場合がある(従業員GOOD

a1180_001395

チップ制度のデメリット

●チップをもらえないスタッフもいて不公平である(従業員BAD
●チップの分配をめぐってのトラブル/訴訟が絶えない(店・従業員BAD
●安定した収入が得られない(従業員BAD
●少額の紙幣(1ドル札や5ドル札)を持ち歩かないといけない(客BAD
●計算が面倒である(客BAD

a0001_001896

こうして見ると、チップ制度は雇用主にとってのメリットが大きいことが分かります。仮に、チップ制度が廃止されて、サービス料をメニュー価格に上乗せした場合、雇用主は今よりも従業員の賃金を大幅にアップしなくてはならなくなるのはもとより、売上額が上乗せ分大きくなることによって収める税金も増えるので、店主としてはダブルの痛手となります。

雇用主のことを考えてチップ制度をこのまま維持するか、客の立場にたってチップ制度を廃止するか、皆さんはどちらを支持しますか?

【参考記事】
NY Times(英文)

 

image_thumb3_thumb_thumb

庶民的な居酒屋りきは別として、今日挙げたレストランは、どれも大都市にある高級レストランばかりです。こうしたチップ制度廃止の動きが、今後、小規模なレストランにまで行きわたるにはかなりの時間がかかりそうです。しかも、アメリカ人のチップに対する根強い考えを変えるのは難しそうです…。(+_+)

 

 

 

 ランキングに参加しています。もし良ければ、クリックしてください。(^_-)-☆ 

ジモモ ニューヨーク

 

.

こちらの記事も合わせてどうぞ!