今でこそ世界第3位の経済国にランクダウンしてしまいましたが、日本は、近年までアメリカに次ぐ世界第2の経済大国であり、裕福な国だと言われ続けてきました。
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しかし、皆さんは、日本の子どもの貧困率が年々上昇していることをご存知ですか?
UNICEF(ユニセフ:国連児童基金)は、先進国35カ国に住む17歳以下の子どものRelative Poverty(相対的貧困率)に関しての報告書「Measuring child poverty(子どもの貧困調査)」を公表しています。
相対的貧困率とは、国民一人当たりの「等価可処分所得」の中央値の半分に届かない人の割合のことであり、等価可処分所得は、家計所得を家計人数の平方根で割ることで算出されます。例えば、家計所得が400万円の4人家族の場合、400÷√4=200万円が等価可処分所得となります。ちなみに、厚生労働省が発表した2009年の等価可処分所得の中央値は224万円(実質値)でした。
ユニセフがまとめた報告書によれば、日本はワースト9位、アメリカにおいてはルーマニアに続くワースト2位という調査結果でした。調査対象の先進国35ヶ国の中で貧困率が低いのは、アイスランド(4.7%)やフィンランド(5.3%)など北欧諸国が目立ちます。中間層が多い日本のような国では、相対的貧困率は高くなりがちではありますが、決して今回算出された数値が低い水準とは言えないでしょう。
さらに、これまでユニセフが同様の分析をした報告書を見ても、日本の子どもの貧困率は、年を追うごとに上昇しており、順位も低迷が続いています。近年の経済状況の悪化や震災の影響もあり、国際的に比較してみてもこうした悪化傾向に歯止めがかからず、日本の貧困化に対する深刻な状況が改めて露呈された形となりました。
調査年 | 貧困率 | 順位/参加国数 |
2000年 | 12.2% | 12位/23カ国 |
2005年 | 14.3% | 17位/26カ国 |
2007年 | 14.3% | 16位/24カ国 |
2012年 | 14.9% | 9位/35カ国 |
また、現在、日本では「見えない貧困化」が進んでいるとも言われています。持ち家に住み、スーツを着て毎日会社で働き、子どもを育てる ーーー 日本に昔からある一般的な家庭モデルのようですが、18歳以下の子どものいる家庭のなんと6割が家計のキャッシュフローにおいて破綻の危機に瀕しています。
では、「見えない貧困」の状況が分かりやすいように、日本で暮らすごく普通のサラリーマン家庭を例にして見てみましょう。
サラリーマンの年収600万円から、税金や社会保障費を除いた可処分所得(手取り収入)は450万円程度です。そこから、150万円の住宅ローン、50万円の生命保険、150万円の子どもの学費や教育費などを差し引くと、実際には100万円程度しか残りません。月にすると、食費や光熱費などの生活に必要なものに使える額は10万円以下です。この金額は日本で親子3人が暮らすには最低限の水準です。
上記の例でも分かるように、ほとんどの日本人が中流だった時代はすでに終わりを告げているのかも知れません。
【参考資料】
Measuring child poverty(PDF)
貧困家庭が多くなってくるにつれ、日本でもアメリカでも公的補助の不正受領が表面化し、大きな社会問題となっています。
本当に困っている人には補助をしてあげたい一方で、不正に受領する人が増大している現実に嫌気が差します。受領を開始したからと言って毎年自動で更新していくようなお役所仕事は止め、6ヶ月~1年ごとに再検討や再調査したり、所得証明だけでなく銀行明細や資産明細などの提出を義務付けるようにするなど、受領判断を厳正に行ってほしいものです。税金をきちんと払っている国民(市民)が、払ったことを後悔することがないようなシステムになってほしいものですよね。(-_-;)
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