さて、皆さんは「教わる」と「考える」、どちらが大切だと思いますか。
昨今では、教師が教えることが悪で、生徒が自分で考えることが良しとされがちですが、教わると考えるのどちらか一方だけで取り組んでも学習効果は低くなるので注意が必要です。
一方的に「人から教わる(インプット)」だけでは
知識ばかり受動的に蓄積し、それを応用することができません。
しかしながら、「自身で考える(アウトプット)」ばかりしていても
基礎的な知識やスキルの不足で、深い思考を身につけることはできません。
新しい概念や基礎的な知識、スキルをきちんと理解してから
子ども達はようやく習得した知識を使って物事について熟考できるようになります。
海外在住の子ども達が日本語を学ぶ際は
インプットとアウトプットのバランスを考え、学習効果を最大化できる方法を実行しましょう!
知識を得るためのインプット学習
(1)目から知識を取り入れよう!
辞書や参考書、ネットからの情報を自分で調べるのも実用的ですが
文脈での具体的な使い方や、例外などは
調べるだけではなかなか理解しづらいものもあります。
集団授業や個別指導、動画などを介して人から直接教わることで
自分自身で試行錯誤する時間を短縮し、効率的に知識を習得することができます。
例えば、
新出漢字であれば正しい書き順や音訓読み
日本語文法であれば基本的な文の構成ルール
算数であれば法則や公式などのような基本知識は直接教わったほうが早いです。
また、知識の習得には反復練習は欠かせませんので
確実に覚えるためには、学習内容を文中で何度も使ってみなくてはなりません。
しかし、一人ではそうした反復練習もつい面倒になってしまいます。
また、的確に使えているかを自己で判断することは難しいですので
ほかの人(教師や親)といっしょに行ったり
定期的にテスト形式で確かめたりすることで
正しい知識や使い方をスムーズに習得することができます。
(2)耳から音やリズムを取り入れよう!
日本語の絵本や児童書、教科書や物語、新聞記事などを使って
年齢や日本語力に合った文章を声に出して読み、それを耳から取り入れましょう。
このとき、3~4回ささっと読んで終わるのではなく
流暢に早く正しく読めるようになるまでくり返すことが大切です。
短い文章や詩などであれば、すらすら暗唱できるほどに読み込みましょう。
音読練習は一人でもくり返し行える学習ですが
文章を正しく読めているか、イントネーションは正確かまでを自分で判断するのは困難です。
そこで、教師や親と追読み(大人が読んだ後すぐに子どもが読む)をしたり
定期的に音読しているところを誰かに聞いてもらい、修正してもらったりしましょう。
人からの指摘があれば、正しい発音や抑揚での音読が劇的にうまくなりますよ。
(3)日常的に日本語を取り入れよう!
海外で日本語を習得させるためには、
家庭内で親がどれだけ意識的に子どもに日本語を使用しているかにかかっています。
補習校や日本語教室などは主に読み書きを学ぶ場であり
週1~2回通うだけで日本語が劇的に向上することはほとんど期待できません。
また、子どもの会話力やリスニング力は日常的な家庭での会話で育まれ
読み書きを学ぶ前にも、一定の日常会話力や語彙力は必要です。
まずは、家庭内での挨拶と日常会話の定番化を徹底しましょう。
朝起きたら、おはよう
食事の前後に、いただきます・ごちそうさまでした
身支度を整えながら、今日は雨が降りそうだから傘を持って行ったほうがいいね
学校の用意をしながら、今日は○○のクラスがあるから○○が必要だね
夕飯の準備をしながら、今晩は何を食べたい?
食事をしながら、これは初めて挑戦した料理なの、どう?
家庭では子どもが理解しているか否か、返事が日本語で返ってくるかどうかに関係なく
いつでも日本語で話しかけてあげましょう!
定着させるためのアウトプット学習
(1)話して日本語を活用しよう!
家庭内での会話は、アウトプットにも大いに威力を発揮します。
インプットした日本語の言い回しや新しい語彙を
子ども自身が実際に使えるようにうまく誘導してあげましょう!
ある程度の会話がすでに成立しているほどの日本語レベルであれば
親子間の会話では挙がらないような題材を話す場として
オンラインレッスンを利用するのもおススメです。
家族以外の人と日本語での会話を通じて、より自然な表現や語彙を身につけられます。
なお、インプットするためのオンラインレッスンであればいつからでも問題ありませんが
会話がまだ十分できないうちから受講すると
相手の話を聞いてうなずくだけの時間になってしまいますので注意しましょう。
インプットを十分してからアウトプットをすることが重要です。
(2)書いて日本語を活用しよう!
毎日の出来事や感じたことなどを日本語で綴ってみることを習慣としましょう。
まずは、簡単な文を1~2行書くことから始め
徐々に長く、複雑な表現を取り入れることに段階的に挑戦してみましょう。
英語では書けるのに日本語では書けないという子は、まず英語で考えると良いですよ。
自分の意見や気持ち、今日起こった出来事などを英語で書き
それを日本語でどのように表せるかと考えるほうが比較的書き進めやすいです。
さらに、書いた文章を音読してみるとアウトプット効果も倍増です。
また、日本にいる家族や友人に年賀状や暑中見舞い、手紙などを送ることもおススメです。
時間と労力を使う手書きのお便りは、メールや電話では味わえない貴重な経験を得られますよ。
お相手に返事を出してもらえるとさらに良いですね!
(3)ゲームで日本語を活用しよう!
子ども向けの日本語ゲームやアプリを利用し、楽しく日本語を使いましょう。
言語学習に特化したアプリ「Duolingo」はアウトプットを習慣化しやすいです。
「どうぶつの森」や「ゼルダの伝説」など人気のRPG(ロールプレイングゲーム)は
ゲームの世界観を満喫しながら、
バラエティーに富んだ日本語に触れることができるので特におススメです。
ほかにも、
いつでも手軽にできるしりとり
カルタや神経衰弱などのカードゲーム
すごろくや人生ゲームなどのボードゲーム
家族みんなで楽しみながら、日本語を使い、日本語で考える機会を増やしてあげましょう!
インプットだけでもアウトプットばかりでも日本語は習得できません。
両者をバランスよく取り入れ、きちんと学習&しっかり定着を目指しましょう!
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