これまで、「日米の小中学校の違い」を2回に分けてご紹介しました。(その1、その2)
Seaton Elementary School / DC Illustrated by David Gaines
日本では当たり前と思っているシステムや設備も、アメリカではまったくそうでないことも…。と言うことで、今回は「驚きの学校システムの違い」シリーズ最終章をお届けします!
今回もアメリカと言うよりは、一般的なニューヨークと日本の公立小中学校を比較し、私の独断で優劣を判定しています。
1.遠足
日本の子ども達の大好きな行事のひとつに遠足があります。もちろん、ここニューヨークの学校にもField Trip(遠足)はあり、子ども達は楽しみにしていますよ♪
日本では学年全員でいっしょに同じ場所に行くのが通常です。しかも、芋ほり、みかん狩り、山登り、田植え…など季節に合わせバラエティーに富んだ屋外で楽しめる遠足が用意されることが多いです。また、最寄まではバスや電車などを使いますが、遠足最終地点までは集団でテクテクと歩いていくことが多く、まさに「遠足」という言葉がピッタリの行事です。
さらに、子ども達が遠足を好きな理由のひとつとして、やはり遠足には欠かせないおやつの存在が大きいのではないでしょうか。決められた額(300~500円)のお金を持って、仲良しの友達と近くのお菓子屋さん(今はスーパーやコンビニなんでしょうね…)で好きなおやつを選ぶのは、とても楽しい思い出です。また、屋外での遠足は雨が降ると中止になってしまうことから、前日にてるてる坊主を作って吊るすのも日本ならではの光景でしょう。そして、極めつけはお弁当でしょう!朝早く起きてお母さんが精魂込めて作ってくれたお弁当箱の蓋を開けるときのワクワク感は大人になっても忘れられない大切な思い出です。我が子にもそうした思いを感じてもらいたいと、日本のお弁当文化が次世代へ受け継がれていくのでしょう。
一方、アメリカでは各クラスの教師が、「どこに行くか/いつ行くか」を決めるので、遠足の場所や日時はクラスによって異なります。ですので、たとえ同学年でもクラスが違えば、遠足の内容や有無も変わります。また、行き先は美術館や博物館、観劇などのインドア系が多く、遠足と言うよりは「校外学習」が多いようです。大抵の遠足は3~4時間ほどで終了するので、遠足の日でも学校で通常のランチを食べることも多く、お弁当を持って行く場合でもサンドイッチやチップスなど比較的簡単でシンプルなものが主流です。
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【塾長の判定】
日本 VS ニューヨーク
学校内では学べない体験ができるだけでなく、遠足の前日から、子どもがワクワクできるイベント的なポイントが盛りだくさんの日本の遠足はすばらしい課外授業です!
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2.保護者のボランティア活動
日本では、保護者が学校を訪れるのは、授業参観や三者面談、学校からの呼び出しがあったときなどで、あまり頻繁ではありません。
しかし、市で決められた少ない予算内で運営しているアメリカの学校は、保護者のボランティアなしでは成り立ちません。例えば、上述の遠足に関しても付き添いのボランティアが必須ですし、授業で使うプリントの整理や下準備、学校の運営資金集めとして年度を通してたびたび行われるバザーへの参加、親睦会にデザートや料理を持参するなど、親が学校に関わることが当たり前と考えられています。こうしたボランティア活動は、小学校のうちだけでなく、中学や高校でも行われます。教育熱心な保護者ほど学校への関わりが大きく、それは少なからず子どもの学校生活に影響を及ぼします。
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【塾長の判定】
日本 VS ニューヨーク
学校でのボランティア活動は、子どもの様子を垣間見れたり、子どもの友達と顔見知りになれたり、先生とのコミュニケーションが取れたりと、学校だけでなく保護者としてのメリットも大きいです。時間が許す限り、参加しましょう!
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3.教師への謝礼
日本では、公立学校の教員が謝礼として金品を受け取ると、収賄罪(5年以下の懲役)に該当します。そのため、日本では教師へのギフトは皆無でしょう。
しかし、アメリカでは教員への謝礼やギフトはかなり一般的に行われています。ギフトの一番盛んな時期は12月のホリデーシーズンです。クラス全体で担任にプレゼントを贈ると言うよりは、個人的に生徒や保護者がプレゼントや花束、ギフトカード(20~50ドル)などを贈ります。他にも、バレンタインデー、Teacher Appreciation Week(先生への感謝週間)、End of the Year(学校最終日)、結婚祝い、出産祝いなどに、教師にギフトを贈る習慣があります。
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【塾長の判定】
日本 VS ニューヨーク
ギフトを贈ることの良し悪しは別にし、子どもがお世話になっている先生方に感謝の気持ちを伝える習慣が根付いていることはすばらしい!☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
3回に渡り、シリーズとしてお送りしてきました「日本とアメリカの小中学校を比較」はいかがでしたでしょうか?取り合えず、今回でこのシリーズは終了しますが、また今後も気付いたことがあれば、ご紹介しますね。
学校や教師に対する親の姿勢や態度から、子ども達は「感謝する気持ち」や「人を敬う心」などを学んでいきます。近年、日本で多いらしいモンペ(モンスターペアレント:学校や教師に対して理不尽な要求や苦情をする親)と呼ばれる保護者の方々は、子どもの手本となるべく常識ある行動をしてほしいものですね。(~_~;)
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